Webはすでにレッドオーシャン!?廃業したWeb系フリーランスに話しを聞いてきた

複業ナレッジ・ノウハウ

100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスの山崎レモンサワーです。

複業メディア「ウィズパラ」では、サラリーマンの方、学生の方、フリーランスの方、問わず、『複業』という、これからの時代の新しい働き方を実現するために必要な知識・ノウハウを発信していきます。

Web系フリーランスとして独立してから、すでに14年余り・・・Web/インターネットにまつわるテクノロジーはまさに日進月歩、独立した当初のしごとと、今のしごとは完全に異なるものになっています。
じぶんは何とかうまく立ち回れて、今に至るものの、その変化に適応できなかった人、もしくは変化することに価値を見出さなかった人など、多くの同業フリーランスが廃業して今は別の仕事をされています。

ちなみにフリーランスの廃業率は、開業3年で62.4%、5年で80%、10年後には88.4%のフリーランスが廃業すると言われています。
10年経ったら10人中9人が廃業すると言われているわけですから、フリーランスとして独立をめざすのであれば、よほど覚悟して転身する必要があります。

参考:https://www.wantedly.com/companies/company_3366457/post_articles/345601

先日、じぶんと同じ時期にフリーランスになられて活躍後、今は廃業してサラリーマンに戻った人の話しを聞く機会がありました。

その話を聞く中で、変化の激しいWeb業界でフリーランスがいかに立ち回っていくべきかや、サラリーマンに戻ることをはじめとしたキャリアチェンジの有効性・必要性など、様々な事を感じ取ったので、それを話していきたいと思います。

Web業界はもうレッドオーシャン?・・・フリーランスは稼げなくなっている

先日、もともと同時期にフリーランスとして独立し、活躍されていて、今は廃業してサラリーマンに戻った人の話しをお聞きしたところ、Web系フリーランスは稼げなくなったと切実に語っていらっしゃいました。

その方は、もともと、イラストレーターやフラッシャーとして活躍されている方でした。

フラッシャーとはAdobe Flashコンテンツの扱いに長けたメンバーのことを指し、インタラクティブなコンテンツを制作するのに必要不可欠なスキルだったことから、フラッシャーは引く手あまたであり、その技術を習得するためのスクールなども多数開校されていました。
2020年12月31日、Adobe Flash Playerのサポートが終了し、いまではフラッシャーのニーズはゼロに等しく、Flashコンテンツの制作を飯のタネにしていたフリーランスは、急ぎ別の飯のタネを見つける必要があったわけです。

このFlashコンテンツの制作は、高度なスキルが必要とされ、スキルを持つフリーランスには非常に高単価な依頼が殺到していました。
そのこともあってか、お話を聞いた元フリーランスの方は昔と今の状況の違い、時代の流れの早さを嘆いていました。

これは何もFlash関連の仕事だけではなく、昔から活躍されているWeb系のフリーランスは、今まで稼げていたWeb関連制作サービスに需要が無くなるなど、働く環境が厳しくなっていると感じている人が実に多いです。

その要因を挙げていきます。

フリーランス人口の増加

近年、社会的にも政策的にも自由な働き方が推進され、フリーランスになる人が増えています。
人材仲介会社のランサーズによると自由業者などの国内のフリーランス人口が2021年度時点で約1670万人になったとの調査をまとめました。

とくに2020年から2021年の1年間で57%も増えています。
これは新型コロナウイルス禍による失業の増加や雇用不安の高まりで、インターネット経由で単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」になった人が多いことが要因と考えられます。

私がフリーランスとして独立した14年前は、周りにフリーランスという働き方をしているひとは、ほとんどいませんでした。

当然、Web制作のしごとは数少ないWeb系フリーランスが独占することができ、報酬単価も今より高額に設定しても、仕事はつぎからつぎに舞い込む時代でした。

Web系フリーランスにとっては、まさにエサの豊富なブルーオーシャンを悠々と泳いでいる状態・・・そして時は流れ現在に至ります。

Webやインターネットに関わる人材へのニーズは依然として旺盛ですが、なにせWeb系フリーランスが急激に増加しているわけですから、限られたパイをより多くの人同士で奪い合う事となり、当然、ありつける仕事や、報酬単価に影響が出始めているわけです。

CMS(無料ホームページ作成サービス)の充実

一昔前であれば、オシャレなWebサイトを持とうと思っても、Web制作会社やWebデザイナーなどのフリーランスに制作を依頼し、まとまった報酬を払う以外に選択肢はありませんでした。

最近では、ウィザードで必要項目を入力し、洗練されたデザインのテンプレートを選択するだけで、誰でも簡単に、しかも費用もほとんどかからず、サイトを持ててしまう時代となっています。

通常のWebサイトだけではなく、ECサイトもWeb制作の知識が無い人でも簡単に制作できるようになってきたわけですから、その意味でもWeb制作者の仕事が減っている事がわかると思います。

もちろん今でも、高度なカスタマイズが必要なECサイトや、高度なWebシステムを組み込んだり、オリジナリティの高いデザイン・UIのサイトを制作する際は、プロの制作者に依頼する必要がありますが、年々Web制作者に依頼せずにサイトを運営できるようなサービスが続々登場してきているのが実情です。

SNSなど情報発信手段の充実

SNSの普及もWeb制作関連の案件を減少させる要因の一つになっていると推測しています。

なぜかと言われると、SNSが個人や企業にとってのプロモーションツールとして強力な地位に昇ってきており、検索エンジン経由(Webサイト)で集客しなくても、SNS一本で充分集客ができるという人たちが現れ始めたからです。

もちろんSNSの効果的な運用はフォロワー数を集められなければ難しいですし、誰しもフォロワーを獲得できるわけではありません。

ただ、プロモーションツールとして、サイト制作に高額な費用をかけ、さらに検索エンジン対策(SEO対策)にも手間や費用をかけることを考慮すれば、自らSNSアカウントをたちあげコツコツと育てていく方がコスパが良いと考えるひとが増えてきているのも当然でしょう。

GoogleがWeb制作者の競合に

最近、ゼロクリック検索の影響で、Webサイトへアクセスを集めるのが難しくなっている傾向があります。

ゼロクリック検索とは、検索エンジンを利用するユーザーが検索結果画面に表示されたコンテンツをクリックせずに、そのまま離脱してしまう現象をいいます。
ゼロクリック検索と言われる現象が発生する理由は、検索エンジンの仕様が変遷していく中で、コンテンツを表示しなくても検索結果画面だけでユーザーの知りたい情報を得られるようになったためです。

たとえば、検索エンジンで「東京 天気」と検索すると、現時点での東京の天気が検索結果画面に表示されます。
わざわざ検索結果に表示されたWebサイトに入っていかなくても結果が得られるのです。
これは、天気を調べる際だけでなく、あらゆるものの調査時に言える事です。

このようなことが積もり積もりWebサイト全体のアクセスが減っているのです。

Google自体がすべてのWebサイトにとっての競合となってしまったといっても、過言ではありません。

Googleはネット上の情報を全て網羅した上で、検索キーワードの最適解を検索結果画面の一番目立つ場所に表示してしまっているわけです。

Googleに本来得られるはずのアクセスを奪われたと取ることもできます。

そして当然得られるはずのアクセス数が奪われる事により、Webサイトを作成しようというニーズ自体が減少することになり、それがWeb制作者への依頼減少にも結びついているという構図です。

インターネット上の情報爆発

米IT大手シスコ(Cisco)の調べによれば、世界のデータ流通量(IPトラフィック)は、1984年の毎月17ギガバイトから、2017年には1217億ギガバイト(=122エクサバイト、DVD304億枚相当)にまで増加しています。
2021年には、2017年の2.3倍の278エクサバイトまで増加したとされています。
そしてこの情報量爆発は、逆行することなく、今後も凄まじいスピードで進んでいきます。

インターネット上に存在する情報量が増えれば、当然、その分、閲覧者の目に触れる機会は減少していきます。

Webサイトを作成しても、競合サイトの数が増えて、なかなか閲覧者にリーチできなくなってきているのです。

閲覧者の目に届かなくなっていく傾向が強まれば、Webサイトを制作する際のコスパも悪くなり、Web制作者へのニーズも弱まることが懸念されます。

今後Web業界で稼ぐのは無理ゲーなのか?・・・今後のWeb系フリーランスの立ち回り方

と、、ここまで、Web系フリーランスの置かれている状況は、決して楽観できるものではないことをお話ししてきました。

そして、さらに進むインターネット環境・Web業界の変化の中でWeb系フリーランスや、これからWeb系フリーランスを目指ししている人は、どう立ち回ればいいのでしょうか?

昔稼げた仕事はレッドオーシャン・・・業界全体ではいまだ需要は旺盛

自分が独立した当初がブルーオーシャンで、非常に稼ぎやすかったことを思い起こせば、今の状況は非常に稼ぎづらくなったレッドオーシャンであると言わざるをえませんし、この傾向はさらに加速していくと予想されます。

しかし、こんな意見もよく聞かれます・・・まだまだWebに関連する仕事の需要は旺盛で、Web業界いまだ人手不足な状態だ・・・。

ひとりのWeb系フリーランスとしては、稼ぎずらくなっているのに、Web業界はいまだ人手不足な状態とはどういう状況なのでしょうか?

それはずばり、需要がある案件の形態・規模・業界などが大幅に変化していっているという事です。

今までは個人のフリーランスに依頼がいっていた、小規模なホームページの制作などライトな案件は、大幅に減少し、高度なスキルが必要で、工数的にも大きなチーム・組織で対応が可能な案件が増加していっている印象があります。

また案件に従事するのに必要なプログラミング言語やデザインツール・スキルセットなども、年々、変化していっており、Web系フリーランスは一度獲得したスキルであっても数年で陳腐化して稼げなくなると割り切り、常にスキルのアップデートが必要になると意識すれば、この業界でまだまだ稼ぎ続ける事は可能なようです。

一気に稼いで、すぐ転身戦略

Web業界に身を置いて気づいたことがあります。

変化のスピードがあまりに激しく、せっかく稼げるスキルを身につけたとしても数年で陳腐化・レッドオーシャン化してしまうせわしない環境ではありますが、新しいテクノロジーやサービス・プラットフォーム・スキルにいち早く身を投じる事によって、大きな利益を獲得するチャンスも多いということです。

変化が激しいというのはシビアな環境ではありますが、他のオールドエコノミー業界に比べれば、やはりはるかに大きなチャンスが転がっているというのが印象です。

そこで、一度身につけたスキルにあぐらをかかずに、常に自分のスキルをアップデートして、業界のトレンドにアンテナをはっていける志の高い人であれば、生涯を通してチャンスをつかみ続けられるはずです。

そしてチャンスをつかむことが出来れば、それが短期間であっても、大きな利益に結びつくため、一定期間の周期でチャンスをつかみ大きな利益を獲得し、それ以外の期間はチャンスをつかむための雌伏の期間と割り切り、新たなスキルを身につけながら、業界を転々するという戦略もアリだということです。

複業ワーカーを目指す・・・収入源は極力分散

長年フリーランスとして精力的に活動していると、大きなチャンスがめぐってきます。

作業の単価は言い値で設定でき、それが単発ではなく毎月継続する・・・頑張っていればそんな案件にめぐり合うものです。

そんなおいしい案件にめぐり合い、数か月、数年経つと、いつまでもこのおいしい案件が続くと錯覚し、あぐらをかきはじめてしまいがちです。

いつしかそのようなおいしい案件にのみ注力するようになり、他の案件への種まきなどを怠るようになります。

しかし、そのようなおいしい案件もいつか突然終わりが訪れます。

条件が良いからと特定のクライアント・案件にどっぷり依存しすぎると、いざ、それらの案件がある日急に終わりを告げられた時に、一気に収入源が途絶えるということになります。

サラリーマンは一見フリーランスより安定していると世間の常識では思われがちですが、収入源を一つの会社に依存している時点で、フリーランスよりはるかにリスキーだと考えています。

終身雇用も崩壊し、稼げるスキルのサイクルも年々早くなっている現代においては、収入源を極力分散することが重要になると考えています。

1社から100万円報酬をもらうより、10社から10万円をもらっているフリーランスの方が盤石です。

Web制作のみで稼ぐフリーランスより、他にもいくつかのナリワイを持っているフリーランスの方が盤石なのです。

働き方改革を実施した企業・自治体を活用する

官民連携して多用な働き方が推進されている現在ではフリーランスでいながらも、複数の企業や自治体の仕事を引き受ける事ができるようになってきています。

いくつかの会社で週に1回から、勤務時間も勤務場所も、仕事の内容も、自分の理想のライフワークに沿った条件で従事することで、非常に安定した精神状態でしごとに打ち込むことができるようになります。

複業ポートフォリオとも言うべき働き方の設計と言えます。

一度、複業ポートフォリオを構築してしまえば、とある会社から理不尽な要求をされたとしても、ある日急に無職になるわけではないので、じゃぁ辞めますと簡単に見切りをつけることができます。

これは収入を安定させるだけでなく、間違いなく幸福度を上げる働き方と言えます。

無敵のオリジナリティを発揮せよ・・・競争しない働き方とは

もっとも安定した働き方、そして、もっとも稼ぎやすい働き方・仕事とは、ズバリ断言すると「自分しかできない」仕事を見出すことです。

人気漫画家、富樫先生が描くハンターハンターのような漫画を描く事ができれば、報酬は青天井で、いかに休載しようが、わがままな働き方を貫こうが、他に富樫先生のような作品を描く事ができないわけですから、仕事がなくなることはありえません。

さすがに富樫先生のような天才のまねごとをする事はできませんが、自分の得意と好きをもとにアイディアしだいで、自分だけがたどり着くナリワイというのは創ることができると確信しています。

誰にもマネできないことを仕事にするというのは、確かに理想論で難しいことかもしれません。

ただ自分が生まれ育った町、自分が子供のころから磨いてきた特技・スキル、他の人が苦にするようなことでも自分は苦にならないくらい好きなこと・・これらを組み合わせれば必ず創れるはずです。

以上が、レッドオーシャン化してきているWeb業界でもうまく立ち回ることでフリーランスは生きていけるという立ち回り方です。ぜひ参考にしてみてください。


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この記事を書いた人

山崎岳史

東京都中野区のフリーランスでWeb制作を行っております。
Web制作会社から独立してから、13年が経ちます。

おもにマークアップやJavascriptのコーディング、Wordpressのカスタマイズなどフロント回りの開発が得意ですが、PHPとMySQLを連携させたシステム開発もよく行います。
ビジネス系メディアへの寄稿などライターとしても活動しています。

自分の最大の売りは、即レススキルと誠実さ(自分で言うなw)だと思います。

最近は、フリーランスや複業(複数の生業を持つ)という働き方の素晴らしさに気づき、この新しい時代の働き方の普及活動をしています。

このメディアでこの変化の早い世の中で、いかにすればフリーランスとして活躍していけるか有益な情報を発信していきます。

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