【企業インタビュー】アーネストキャリア水野代表:障害者でも希望を持って生き生きと働いてもらえるよう、可能性や機会を提供していく
ー 障害者でも希望を持って生き生きと働いてもらえるよう、可能性や機会を提供していきたいです。うちは、正社員雇用を目指すのが大前提!ですよ ー
そう、答えてくださったのは、障害者の為のIT特化型就労移行支援事業所「アーネストキャリア」の水野代表。今回は、水野代表に直接お話を伺った。
アーネストキャリア公式HP https://earnest.ac/
平成30年4月1日より、障害者の法定雇用率が引き上げになったが、現状では民間企業で働く障害者は、身体障害者の割合が圧倒的に多く、精神障害者の割合がまだまだ低いのが現状。
そんな中、精神障害者でも一部の発達障害者の特徴を掴み、IT能力が高いことを話す水野代表。
”自己肯定感が低いけど、可能性はある 。活躍の場の提供はできるわけで、多くの人に機会を与えたい”
—精神障害者の雇用に関して、実際に企業の声なんかを聞くと、在宅の雇用がベストなんじゃないか?とかネガティブな声が多いんです。 確かに企業側から見たら、雇用した後、一緒に働くとなったら、どう接していいのか分からないだろうし、在宅の方が個人のペースでできたりするからいいとは思うと思います。
しかし、一般社会に通用する、もしくはそれ以上のスキル持っている可能性はあるわけで、”なんとかしたい”と本気で想う時に”選べる”という機会を提供したいんです—-
企業が障害者雇用に対する考えが不安な中、水野代表は、障害者に対する見方が驚くほどポジティブだ。
—-特に精神障害者の中でも、弊社の方で、現在特にサポートさせていただいているのが、発達障害の人へのITスキル教育支援からの雇用斡旋になります。発達障害の方とかは、ただ癖のつよい人達なんですよ。一般の人と変わらない。ただ、癖は強いです。 しかし、私は、”特殊な能力”だと思っています。
例えば、相手の感情を読み取れなかったり、思ったことをすぐ言ってしまうとこもありますが、興味のある分野へ没頭して集中する能力なんかは、もはや才能です。子供が好きなものを見つけて熱中する能力ってすごいと思うんですが、大人になるとそういうことが出来ずに、冷めた取り組み方をする人が多い。
けれども、興味がある分野に没頭する能力を持つ発達障害の方などは、新しい技術やスキルがどんどん出てくるITの分野には、一般の方より適正があると、私は考えています—
そう、水野代表は語った。
世間的に障害者法定雇用率が増えたとはいえ、まだまだ就職率が低いとされてる精神障害者にこんなにポジティブな考えな人はどれだけいるだろうか?
筆者も、高校生の時に福祉のボランティア活動をしており、たくさんの方と関わってきましたが、こんなに障害者支援に対して熱い方の声に直接触れるのは初めてだった。水野代表がこんなに熱くなるのにも理由がある。
以下、HPスタッフメッセージ参照 https://earnest.ac/message01/
~~~18年前、私の義父が脳梗塞で倒れ半身麻痺という障害を持ちました。
義父とは別々に暮らしていましたが、これをきっかけに義父と一緒に住み、妻と介護をすることになったのです。
義父のリハビリのサポートをしたり、車いすを押してみなさんと遠足などの課外授業に参加したり。
私は、高校、大学、社会人とアメフトをやっていたので、体力には自信がありました。
ですから、体格のいい方を車いすに乗せたり、車いすを押したり、とボランティアをすることが増え、福祉の関係者と触れ合う機会がたくさんできました。
ある日のことです。障害を持った30代の男性の車椅子を押す機会があり、何気ない会話をしていたんです。
私:普段はどのように過ごされているんですか?
男性:実は、パソコンの勉強をすごくしています。パソコンを勉強して、また仕事をしたいと思って。
私は、正直、驚きました。障害を持った方でも社会復帰できるんだ、仕事ができるんだ、と。
その男性はそれから約1年後に他界してしまうのですが、男性の言葉は私の心の片隅に残っていました。
一昨年前、義父の介護に携わって16年、義父は他界しました。
さて、これから何をしていこうか、と妻と自分たちの未来を創ることになりました。
義父を通して福祉業界とのご縁ができていたので、義父がお世話になった恩返しができないかなという思いもあり、福祉業界で何か自分たちができることがないかを考えたんです。
その時に「パソコンを勉強して、また仕事をしたい」という男性の言葉が、はっきりと思い起こされました。
その時には気づかなくても、今起きてることや、向き合ってることには、全て意味のあることなのかもしれないですね。
この男性がいなかったら、アーネストキャリアはなかったかもしれない。 ~~~
そんな水野代表の創業の想いを伺いつつ、これからの大きな可能性についてもお話を頂く事ができた。
— 発達障害でもIT能力は高いはずなのに、与えられる仕事は、清掃作業など…
世界ではニューロダイバーシティが認められている中、日本では認知が遅いんです。
健常者の3倍習熟速度が高いにも関わらず、それすら気づかれない…気づいていない。
強いとこだけを生かしていけば、むしろ健常者よりすごいかもしれない。RPA※も発達障害の人と相性がいいと思うんです。
※「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略語で、ホワイトカラーのデスクワーク(主に定型作業)を、パソコンの中にあるソフトウェア型のロボットが代行・自動化する概念。
企業でも雇用が足りてないみたいで…
ニューロダイバーシティの逆襲を狙っています。笑
こんなこともできるんだぞって。
あとは、障害を持ってる人だけで、開発会社を作りたいんです。
実務経験を積めるように、会社も作ってしまおうと思っていて。
自己肯定感をいかに作れるかが課題ですね—
中々、日本では精神障害者の雇用に対して理解度が低い現状もありながら、水野代表は、障害者がもっと自己肯定感を持ち、自分で選択できる未来に情熱を注がれている。
—最近、一番嬉しかったことがあるんです。
発達障害の子を持つお母さんが来たのですが…
お母さんは、自分の子が発達障害だと認めたくないみたいなんです。
でも、病院では発達障害たと診断されたらしく、うちに相談に来られて。
そのお母さんは、自分が死んだら子供はどうなってしまうんだろう?と、とても心配していて、子供の将来に不安があるようでした。
そこで、私がアーネストキャリアでやっているプログラムの説明や、誰にでも可能性があること、発達障害の人はIT能力が高いことや、健常者の3倍早い習熟速度があることなどを話したら、希望を感じてもらえたんです。
〇 お母さんの見方が変わったこと
〇 希望を持ってもらえたこと
〇 目の前で心から喜んでもらえたこと
目の前にいる人が喜んでくれたときに、とてもやりがいを感じました。
お母さんが泣いて話を聞いてくれたので、僕も一緒に泣きながら話をしました。最近一番、嬉しかったことですね。
人の一生に関わるかも知れない。そんな中、目の前にいる人に喜んでもらえたらやり甲斐にも繋がりますね。どんな人にだってチャンスはある。諦めないで、本気になれた時、機会がここにはある気がしました。
そんな、あたたかい居場所を提供してくれている人たちがいることは、とっても嬉しい事です。
—今は、全国に4箇所の施設がありますが、実際通っているのは施設の近隣住民の利用者さんが多いです。でも、この施設に通うために地方から引っ越して来られた利用者さんもいて。今後、地域の方々に求められるのであれば全国に展開にしたいです—
お話を伺う中で、水野代表の想いを必要としている人が日本中にはたくさんいるだろうと強く感じた。
水野代表、明確なビジョンと素敵なお話しをありがとうございました。
アーネストキャリア公式HP https://earnest.ac/