フリーランスがビジネスを行う上で、必ず熟知しておくべき法律・法令

複業ナレッジ・ノウハウ

100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスのざき山です。

複業メディア「ウィズパラ」では、サラリーマンの方、学生の方、フリーランスの方、問わず、『複業』という、これからの時代の新しい働き方を実現するために必要な知識・ノウハウを発信していきます。

フリーランスになると気づく事になりますが、フリーランスはモノの作り手という一面だけでなく、経営者という一面も強制的に持ち合わせる事になります。

経営者は、当然のことながら制作以外にも営業・財務・広報などの面も広範囲に考える必要が生じますし、そして企業なら法務部が担当する法律・法令のことにも気を回さなくてはなりません。

経営者であることは、負わされる社会的責任も必然的に大きくなりますので、何かあった時に日本にそんな法律があったのは知らなかったといっても通用しません。

そして法律・法令には、従わないと罰則・ペナルティが課される制約的な一面と、活用することで自らを保護・アシストしてくれる武器としての一面があります。

そのどちらも、フリーランスとしては熟知しておき、必要なシーンで法令を遵守・活用する事が求められます。

今日はフリーランスが必ず知っておくべき法律・法令を紹介していこうと思います。

フリーランス保護法

まずは、我々フリーランスにとって、悲願・朗報と言える法令の紹介からです。

通称「フリーランス保護法」

フリーランス保護法とは、フリーランスの事業者が一方的に不利な立場に置かれたりすることを防止し、安定して仕事に従事できる環境の整備を目的とした法律です。
契約内容の明示や支払期日、違反行為に対する罰則などを定めています。

フリーランスは、労働基準法が適用されないため、取引上弱い立場に置かれています。
そのため、業務を委託する企業から一方的に契約内容を変更されたり、報酬の支払いが遅れたりする等トラブルに巻き込まれがちです。(じぶんも散々痛い目を経験してきました。)
他方で、フリーランス人口は年々増加しており、フリーランス保護への要望の声が増えている背景から、政府も重い腰を挙げたという経緯があるのでしょう。

実はフリーランス保護法はまだ施行されていなくて、2023年2月24日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」(フリーランス・事業者間取引適正化等法案、いわゆる「フリーランス保護新法」)が国会に提出され、同年4月28日に成立したという状態で、実際に施行される日は未定で、早ければ2023年中に、遅くとも2024年秋頃までには施行されると思われます。

フリーランス保護法が施行されるとどうなる?

フリーランス保護新法では、働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事できる環境を整備することを目的とし、委託事業者およびフリーランスの取引について、委託事業者において、

・書面等での契約内容の明示
・報酬の60日以内の支払い
・募集情報の的確な表示
・ハラスメント対策

等の措置を講じることとされています。

同法では、罰則の規定も設けられており、これによってフリーランス保護の実効性を高めています。

フリーランス保護法が施行されれば、フリーランスに業務を委託する企業側の姿勢は間違いなく良い方向に変わる事が予想されます。

ようはフリーランスへの理不尽な要求・対応が減る事が期待されます。

またフリーランス保護新法では、長期間の業務委託がなされる場合に、フリーランスが不利益を受けないように、委託事業者が遵守すべき禁止事項を定めています。

① フリーランスの責めに帰すべき事由なく給付の受領を拒絶すること
② フリーランスの責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること
③ フリーランスの責めに帰すべき事由なく返品を行うこと
④ 通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
⑤ 正当な理由がなく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
⑥ 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
⑦ フリーランスの責めに帰すべき事由なく給付内容を変更させ、またはやり直させること

フリーランスへの過酷な条件での長期囲い込みができないような配慮が見受けられます。

自由を求めてようやくフリーランスとして独立したはよいものの、ブラック企業と長期の業務委託契約を交わし、自由なく搾取され続けているフリーランスを今まで多く見てきましたからね。

このような法令が社会的立場の低いフリーランスの保護・救済に寄与してくれれば、同じフリーランスとしては喜ばしい限りです。

独占禁止法・下請法

企業がフリーランスに業務を発注するなどの取り引きをする場合の多くに、独占禁止法・下請法・労働基準法が対象となります。

「独占禁止法」は、正式には「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といいます。
自由経済社会において、企業が守らなければいけないルールを定め、公正かつ自由な競争を妨げる行為を規制しています。

独占禁止法での禁止事項とは、ひとことで言えば、優越的地位の濫用になります。

下請法の正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」で、資本力が大きい企業などが、資本力が小さい企業や個人事業主などに対して発注をする際に適用されます。
この発注に際し、不当な返品や支払いの遅延などを禁止し、公正な取引を行うための法律です。

下請法は独占禁止法の補完法として整備された経緯があります。

独占禁止法又は下請法上問題となる行為

独占禁止法の優越的地位の濫用として、あるいは下請法違反として、発注事業者の行為で問題とされるものとして、ガイドラインでは以下の行為を挙げています。

1.報酬の支払遅延
2.報酬の減額
3.著しく低い報酬の一方的な決定
4.やり直しの要請
5.一方的な発注取消し
6.役務の成果物に係る権利の一方的な取扱い
7.役務の成果物の受領拒否
8.役務の成果物の返品
9.不要な商品又は役務の購入・利用強制
10.不当な経済上の利益の提供要請
11.合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務・競業避止義務・専属義務の一方的な設定
12.その他取引条件の一方的な設定・変更・実施

それにしても、独占禁止法や下請法で上記のようなガイドラインがあるとはいえ、現実には、クライアントから上記のような要求が、今まで多々寄せられたものです。

今後は、同法のさらなら羞恥と実効性の強化に社会一丸となって取り組んでいただきたいものです。

著作権法

フリーランスが特に気を留めておくべき法律に「著作権法」があります。

著作権侵害とは、私的使用の範囲を超えて他人の著作物を無許可でコピーし、配信、上映、改変、切除などをする行為である。著作権侵害は、人々の創造意欲を減退させる行為として、法により規制されている。

著作権法は、じぶんが人の著作物の権利を侵害してしまう場合や、じぶんの著作物が誰かにパクられた時など、双方のシーンを想定して必ず熟知・遵守すべき法律です。

インターネットの社会では、他人の著作物を簡単に複製して、それらをもとにマネタイズするということが、比較的簡単に出来てしまうため、著作権侵害は日々、世界のいたるところで起きていると言わざるをえません。

しかし社会が「著作権侵害」に目をつむり、放置すれば、著作権者は正当な報酬を受ける事ができなくなり、間違いなく優秀なアーティスト・漫画家・デザイナー・ライター・デザイナーなどの居場所がなくなり、文化は衰退していきます。

じぶんもフリーランスとしてモノの作り手を目指すなら、他人の著作物の権利を徹底的に守るという配慮が必要になりますし、著作権を侵害している同業に対しては厳しい目を向けることも求められるでしょう。

著作権侵害の罰則

著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定められています。 また、企業などの法人による侵害の場合(著作者人格権侵害、実演家人格権侵害を除く)は、3億円以下の罰金と定められています。

NDA(秘密保持契約)

契約により法的な拘束力を持つものになりますが、フリーランスが新規で取り引きするクライアントと交わすものにNDA(秘密保持契約)があります。

NDA(秘密保持契約)とは、自社情報の開示にあたっては、万が一にも漏洩したり、不正利用されたりしないよう、十分気をつけなければなりません。 そこで、提供した情報を他社が本来の用途以外の目的で利用することや、第三者に開示することを法的な拘束力をもって制限するために交わされるのがNDAです。

ちなみに、クライアントとNDA(秘密保持契約)を交わそうが交わすまいが、クリアントとの業務の中で知りえた情報は、第三者に漏らすのは論外です。

普通の人間づきあいでも、自分が話した秘匿性の高い話しを、別の人に簡単に話すような人は信用されないですよね。

法律遵守が大切だよという話しが今回のテーマですが、基本的には常識に従っていれば、法律を踏み外すことはそうはありません。

薬機法

薬機法とは、医薬品等の製造や販売などに関するルールを定め、保健衛生の向上を図ることを目的とした法律です。
薬機法の規制対象となっている医薬品等を製造・販売する事業者は、広告規制をはじめとした各種のルールを遵守する必要があります。

医薬品、医薬部外品、化粧品などの名称や製造方法、効能・効果または性能に関して虚偽または誇大な記事・広告を広めることを禁止しています。

自らの商材やサービスを売るために、薬機法を無視した内容をホームページに掲載すれば、重い罪に問われる事になります。

フリーランスは掲載内容が薬機法に抵触していないか常に注意したいところです。

フリーランスの法律をめぐるみんなの声

まとめ

経営者として、自らの責任で仕事をする以上、知らなかったではすまされない各種法令。

フリーランスになる人は、自分のナリワイのスキルを磨く事には余念が無いのですが、法令や税など、あまりおもしろくない事に関してはついつい勉強をサボりがちです。

守らなければ罰則を課されるというのだけが法令の一面ではありません、ときには法令がある事によってじぶんが被むる理不尽・不利益から防いでくれる・・・それも法律です。

時にはじぶんを守ってくれる有用な法律ですが、自らがまったく法律について知らないという状態では、いざというときにまったく活用できないので、法律内容についてはフリーランスである以上、関係のあるものだけでも熟知おくことが求められます。


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この記事を書いた人

山崎岳史

東京都中野区のフリーランスでWeb制作を行っております。
Web制作会社から独立してから、13年が経ちます。

おもにマークアップやJavascriptのコーディング、Wordpressのカスタマイズなどフロント回りの開発が得意ですが、PHPとMySQLを連携させたシステム開発もよく行います。
ビジネス系メディアへの寄稿などライターとしても活動しています。

自分の最大の売りは、即レススキルと誠実さ(自分で言うなw)だと思います。

最近は、フリーランスや複業(複数の生業を持つ)という働き方の素晴らしさに気づき、この新しい時代の働き方の普及活動をしています。

このメディアでこの変化の早い世の中で、いかにすればフリーランスとして活躍していけるか有益な情報を発信していきます。

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