竹中平蔵氏「平成の教訓、令和の希望」の講演参加メモ。“旅するように仕事をしよう“

複業イベント

NewsPicksさん主催の講演に参加してきました。モデレーターはNewsPicks編集長の佐々木紀彦氏。

小泉政権で大臣を歴任し、郵政民営化政策などの立役者として激変の時代の渦中に身をおいた竹中平蔵氏。そんな事言っていいの?と思うくらいざっくばらんに政治の裏側の話しを聞かせて頂きました。その中からウィズパラ読者の皆様にもシェアしたい内容を少しご紹介できればと思います。

平成の教訓、令和の希望

【竹中平蔵氏プロフィール】
1951年和歌山県生まれ。一橋大学経済学部卒業。博士(経済学)。
ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを経て、2001年小泉内閣で経済財政政策担当大臣を皮切りに、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣兼務、総務大臣を歴任。2006年よりアカデミーヒルズ理事長、現在東洋大学教授、慶應義塾大学名誉教授。
ほか㈱パソナグループ取締役会長、オリックス㈱社外取締役、SBIホールディングス㈱社外取締役などを兼務。

 

竹中平蔵講演

なぜ日本の企業は世界からおいていかれたのか

アメリカの上場企業は、次のトップを決める際に指名委員会という外部組織が5億円10億円といった予算で調査して、内部や外部から適正な人材を任命する。しかし日本の大手企業、上場企業では社内政治や、前社長の可愛がっている人間などが登用されるケースが多い。つまりコーポレートガバナンスがきいていない。

※コーポレート・ガバナンス(英語:corporate governance)とは、企業の不正行為の防止と競争力・収益力の向上を総合的にとらえ、長期的な企業価値の増大に向けた企業経営の仕組み。日本語では企業統治(きぎょうとうち)とも訳される。

また、日本は雇用問題で企業がなかなかリストラができない事が大きな要因に挙げられる。1979年、東京高裁判決(1979)で示された東洋酸素事件の判例から、会社が解雇権を行使するのは非常に難しく、倒産の危機レベルでしかできないような状況となった。

コーポレート・ガバナンスの欠如、そして人材の流動性の低さが日本の特徴であり、AIやブロックチェーンといった新しい技術が浸透していく世界の市場環境に即して、柔軟に組織体質を変化・強化する文化が日本企業には欠けていたという事。

日本はスタートアップがアメリカより少ない、とよくいわれるが、実はクローズ率(企業閉鎖率)も低い。つまり死なない企業がゾンビのように生き続け、高齢の経営者が増えて新陳代謝が進まない。

労働時間に対価が支払われる仕組みの限界

例えば、一本の論文を書き上げるのに1時間長くかけば生産性が上がる論理はないが、工場で手作業の生産を行う場合は、長く働けばその分生産性があがる。つまり、時間で成果をはかるべき職種と、そうではない職種がある。

多くの先進国でそうであるように、日本でも知的労働を主業務とする仕事人は多い。しかしながら、多くの大企業では就業時間が取り決められ、決まった時間に出社し長時間労働を美徳とする文化が残されている。これでは国全体としての生産性向上は難しい。

そこで政府は新たに「高度プロフェッショナル制度」を設けた。が、実際に使用したのは1人だけという実情。国の制度や会社の規定に妄信的に従うのではなく、もっと個人で自由な働き方を選択していくべきではないだろうか。
※高度プロフェッショナル制度について

明るい令和にむけて必要なのは「逆転の発想」

日本の人口は減っていく事は確実で、2030年以降、今ある集落は3割以上維持ができない状態になるともいわれている。そういった集落では少人数のためだけに病院や郵便、銀行といった国が提供してきた生活インフラ運営が難しくなるため、いくつかの集落をまとめたり、隣の都市部に移動したり、積極的に移動を促していく必要がある。

そういった中で若い人が地方への魅力を感じるのは難しい。(個々人レベルで見て全く理由が無いわけではないが、多くの人を動かすという意味で)であれば、団塊世代以上のシニアが地方に移動し、介護費や生活費を下げるプランを掲げたら地方創生につながるのではないだろうか。介護の福祉予算などを国が負担し、新しい雇用や人員を確保する。ここでいう若い人ではなくシニアを集めるというような「逆転の発想」が令和時代には重要である。

旅するように仕事をしよう

働き方においても「逆転の発想」は必要。

日本国内にいると、様々な課題が目の前にあり悲観的な意見が多く飛び交うが、一度世界に出てみれば、やはり日本という国の素晴らしさを再認識する。水も空気も美味しく、料理も文化も豊かで世界に誇れるものばかりだ。世界的にみればまだまだ所得も高い。

一つ面白いデータがある。平成が始まるころの日本の法律は1000前後だったらしい。それが平成が終わるころには倍の2000以上の法律が存在するようになったそう。ちなみに人口は増加していないし、経済成長もわずかである。

思えばパソコンやスマホの普及、ストーカーやパワハラといった犯罪の概念、ドローンや仮想通貨といった新技術など、数えきれない環境変化の連続を我々は体験しながら、また課題を解決しながら今ここに立っている訳だ。つまり我々は「逆転の発想」が多く生まれやすい環境にいる。

変化が当たり前の環境を前提とした場合に、どのように仕事を選び、働き、生きていくか。それらを見直してみると、森岡毅氏の「会社と結婚するな、職能と結婚せよ」という考え方が非常に大切な視点と言えるだろう。

複業やパラレルキャリアといった生き方、働き方が当たり前になる。世界中を旅するように、仕事や環境を変化させながら、そこで出会う人との繋がりや新しい学びを自分の中に積み重ねていく…。そういった自由で心豊かな働き手が日本に多く増える事で、共に素晴らしい令和時代を築いていきたい。

講演の様子

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