2020.01.06
インボイス制度って何?フリーランスや中小企業は勉強必須、今話題の「インボイス制度」を調査してみた
検索キーワードの急上昇キーワードに「インボイス制度 フリーランス」が登場していたので、重い腰を上げ、本格的に調べてみました。
このインボイス制度は2023年10月からが始まる事が決定しています。
なーんだ、2020年1月現在の今から、3年半以上も先かぁと思われるかもしれませんが、3年半という時間は経ってしまえばあっという間です。
この制度が始まると、年間売上げ1000万円以下のフリーランスも消費税の課税事業者となって納税しなければ生き残れなくなると言われています。
そうなんです、今現在、原価のほとんどないWeb制作系やイラストレーター、フォトグラファー、ディレクターなどのフリーランスは、売り上げが1000万円を超えない人も多いと思います。この売り上げが1000万円を超えない事業者は消費税をクライアントから徴収はできるものの、その分を国に納める必要のない免税事業者となるのです。
インボイス制度が始まると、どうやらこの免税制度がビジネスの足かせになる?らしい・・・これは影響をダイレクトにうけるのフリーランスや個人経営者にとってみればめちゃくちゃ大きな話なのです。
このインボイス制度を調べるうちに、思いました。・・・この制度そこそこ難しいです。
インボイス制度の理解には、消費税の仕組みをある程度、知っておく必要があります。
まず消費税のここだけはおさえておこうという点を簡潔にピックアップします。
そもそも消費税って?インボイス制度を理解する前に知っておく必要のある消費税の知識
・事業を行うものが商品・サービスを売り、その際、消費税を価格にのせて販売し、消費者から国に代わって消費税を徴収し、確定申告で徴収していた消費税を国に納付します。
・国に納付する際、商品販売時に消費者から徴収した消費税から、商品を仕入れる際に支払った消費税を引いて(相殺して)納付します。
・印紙や家賃や保険料など、消費税がかからない商品・サービスがあります。
・事業主が年間の売り上げ1000万円を超えた場合、その年の翌々年が課税業者となります。課税業者以外は免税業者となり、国に代わって徴収した消費税を国に治める必要がない特典とも言える制度です。
インボイス制度について順を追ってみていこう
さて、それではいよいよ、「インボイス制度」の方に話を移したいと思います。
2019年の10月に日本は消費税が10%になりました。
また特定のジャンルの商品は税率が据え置かれる軽減税率なる制度も導入され、消費税制は複雑さを増しています。
インボイス制度はそれを踏まえた上での制度とも言えます。
このインボイス制度とは、漢字で書くと「適格請求書等保存方式」という名称になります。
インボイス制度が始まると、売り手(請求)側には「適格請求書」の発行義務が生じ、支払い側には「適格請求書」の保存義務が生じます。
この「適格請求書」がこの制度の最重要キーワードです。
適格請求書とは?
適格請求書とは適格請求書発行事業者が発行する請求書です。
発行事業者は登録制になっており、2021年10月から税務署への登録申請が開始されます。
さきほど簡単に述べましたが、消費税の納付は商品を販売したときに消費者から徴収した消費税から、仕入れの際に支払った消費税を引いた額を国に納付するわけですが、この際、仕入れ時に適格請求書ではない請求書に対して支払った消費税は相殺の対象にはならないという事です。
簡単に言うと、適格請求書発行事業者ではない事業者と取引する場合、仕入時にも消費税を支払っているのに、消費者から預かった消費税をまるまる支払う必要があるということです。
さらに超簡単に言うと、適格請求書を受け取らないと、納税額が増えます。
この制度が始まれば、事業者が取引する際に、適格請求書発行事業者以外の事業者と取引する事を避けるケースが出てくると予測されます。
個人であっても適格請求書発行事業者になるのは必須かなぁと思う次第です。
さてこの適格請求書ですが、めちゃくちゃ大事なポイントとして、免税事業者は発行できません。
つまり適格請求書発行事業者になるには、免税事業者ではなく課税事業者になる必要があります。
これがインボイス制度が始まったら、売り上げ1000万円未満のフリーランスも消費税をおさめなければならないと言われている所以です。
確かに適格請求書発行事業者(課税事業者)にならず、免税事業者のままでいれば、徴収した消費税の納付は免除されますが、他の事業者が割りを食う訳ですから、免税事業者でいる事のメリットと仕事が減るかもというリスクを天秤にかけて判断する必要がありそうです。
適格請求書発行事業者(課税事業者)になる?免税事業者のまま?あなたはどっちを選択する
制度がはじまってみないと、世間の反応、影響がいまいち読みにくいというのはよくわかります。
業種によっても選択が異なる事も予想できます。
影響が出てから動くという様子見派が多いかもしれません。
ここでは、今現在、免税事業者である私が、どのように行動するか、予想してみたいと思います。
インボイス制度で影響を一番受けるのは、やはり今現在、免税事業者である、多くのフリーランスや個人経営者だと思います。
これまでも消費税を納付している課税事業者は、取引の相手が同じく課税事業者の場合、ビジネス上あまり大きな影響はありません。
自分が課税事業者だと想像してみた時に、免税事業者とそのまま取引を続けるかどうかを想像してみます。
・・・答えは、同じサービスを受けられるなら、業者を切り替えるかなぁという感じです。
・・・おそらく世間の事業者の大半もそういうリアクションを起こすと予想しています。
俄然、しんどくなりそうな免税事業者ではありますが、経過措置はあります。
適格請求書がなくても
●2023年の10月から2026年9月の3年間は、支払った消費税の8割が葬祭の対象(払った計算)になります。
●2026年の10月から2029年9月の3年間は、支払った消費税の5割が葬祭の対象(払った計算)になります。
うーん、それにしても、日本の税制って複雑で面倒ですよね。現場の混乱が容易に想像できます。
免税事業者の対策
インボイス制度が開始した場合、何も手を打たず、そのまま免税事業者のままでいる人は、唯一無二のスキル・サービスがあれば話は別ですが、おそらく確実に仕事が減ります。
対策としては、取引を断られそうであれば、その分の値引きに応じるか、
やはり課税事業者になり、その後、適格請求書発行事業者に申請するしかないようです。
ちなみにインボイス制度が始まる、2023年に課税事業者になっておきたい人は2022年までに課税事業者選択届出書を税務署に提出しましょう。
これまで、強烈な特典として存在していた年間売り上げ1000未満で免税事業者いることの、うますぎる恩恵が無くなるわけですから、フリーランスは戦々恐々なわけです。
ただ、こう考えてはいかがでしょうか?
そもそも国に治めるために人から預かっているものを、今まで懐に治めてOKだったのが、そもそもめちゃくちゃラッキーな事で、それが通常の状態に戻るという事です。
もう一つは2021年の売り上げで、1000万円を超えて、選択の余地なく、その後は課税事業者として活躍し続けるというのが最も心理的には楽かもしれません。
言うほど簡単な事ではありませんが・・・。
いずれにしろ、制度が始まってしまう訳ですから、愚痴などはかずに、プラスにとらえ、いち早く課税事業者→適格請求書発行事業者になることで、腰が重い、免税事業者から仕事を奪う事もできるかもしれません。
参考動画
【インボイス制度】フリーランスと個人事業主を悩ますインボイス制度を税理士がわかりやすく解説!【基礎編】
【インボイス制度】免税事業者はつらい…フリーランス・個人事業主・零細企業を苦しめるインボイス制度への対策を税理士がわかりやすく解説!【実践編】
この記事を書いた人
山崎岳史
東京都中野区のフリーランスでWeb制作を行っております。
Web制作会社から独立してから、13年が経ちます。
おもにマークアップやJavascriptのコーディング、Wordpressのカスタマイズなどフロント回りの開発が得意ですが、PHPとMySQLを連携させたシステム開発もよく行います。
ビジネス系メディアへの寄稿などライターとしても活動しています。
自分の最大の売りは、即レススキルと誠実さ(自分で言うなw)だと思います。
最近は、フリーランスや複業(複数の生業を持つ)という働き方の素晴らしさに気づき、この新しい時代の働き方の普及活動をしています。
このメディアでこの変化の早い世の中で、いかにすればフリーランスとして活躍していけるか有益な情報を発信していきます。
この記事を書いた山崎岳史個人に仕事のご依頼やご相談、世間話や飲みのお誘いなどがある場合は、コチラまでお気軽にご連絡ください。
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