【企業インタビュー】「無理しないでね」が合言葉。約300名のママクリエイターが活躍する環境づくり——マムズラボ株式会社
妊娠・出産・育児……女性のさまざまなライフステージを乗り越えて、クリエイターとして活躍するママたちがいます。
「マムズラボ株式会社」は、300名を超えるママのクリエイターが所属し、ママならではの目線と、クリエイターとしてのキャリアと専門知識をかけ合わせ、企業や社会の課題を解決しているといいます。
実際にどんなママたちが働いているのか、どんなクリエイターが求められるのか、代表の佐藤にのさんに話を伺ってきました。
——マムズラボのサービスにはどんなものがあるのでしょうか。
マムズラボには、現在300名を超えるフリーランスママのクリエイターが所属しています。Webサイト制作やライティング、デザインなどの仕事を、在宅のママクリエイターチームと一緒に行って納品するのが主なサービスです。
Web制作だけでなく、商品開発やマーケティング、イベントプロデュース、あとは地域活性化など自治体や行政の課題を一緒に解決していくような仕事もあります。「ママの知見」プラス「専門能力」をうまく組み合わせて、企業や社会全体の課題を解決するという方針を掲げてやっています。
——とても幅広いですね。
はい。ほかにも首都圏最大級のファミリーイベント『かぞくみらいフェス』というイベントを主催したり、人材紹介事業として、時短勤務や在宅ワーク可能な求人のみを取り扱う『flexwork(フレックスワーク)』を運営したりもしています。
「無理しないでね」が合言葉
——社内での仕事内容はどんなものがありますか?
社内では、営業、プランニング、ディレクションを主に行っています。アウトプットの要となる制作仕事を社外クリエイターに依頼し、社内プランナーやディレクターもクリエイターと共に同じチームとして一貫して動きます。
——所属するクリエイターにはどんな職種がありますか?
現在は、おおよそですがライター・エディターが200人、デザイナーが90人、コーダーが50人です。PRやマーケッター、フォトグラファーなどの方々にもご登録いただいています。
——そのなかで、多い方だと何案件ぐらい同時にこなすのでしょうか?
同時にこなすということであれば、だいたい多くて5~6案件でしょうか。例えばライターの場合だと、記事をひとりに2~30本執筆依頼しているケースもあります。案件ごとの規模感や時期などによって、さまざまですね。
——並行してたくさんの仕事ができるんですね。
そうですね。でも、「うちの仕事を絶対に受けてね」という決まりがあるわけではなく、受けていただくことを強制しているわけでもありません。スケジュール感やご家庭の事情、報酬の予算感、すべてを加味したうえで、きちんと話し合いを経てお仕事を受けていただくようにしています。「無理しないでね」「けど、やるからには一緒に頑張りましょう」が合言葉になっていますね。
——それは安心です。
フリーランスの方だと、「この仕事を断ったら、企業との関係が壊れちゃうんじゃないか」という思いを抱く方は少なくないと思います。特に子育て中などで十分な時間を確保できない方ほど、仕事が来なくなることを恐怖に感じ、無理しても受注してしまうケースもあるのではないでしょうか。
発注側に立つことが多い身としては、全て、クリエイターがいてくださってこそのお仕事なので、お受けいただく際には仕事の押し付けにならないよう、配慮が必要だと思っています。お互いに納得してから仕事に取り組むほうが長く関係を築けますし、クリエイターだけでなくクライアントとも良い関係を築けるように、社内外での話し合いは怠らないように気をつけています。
——実際に一緒に働いているクリエイターからはどんな声がありますか?
『かぞくみらいフェス』のクリエイティブを担当しているアートディレクターからは、「マムズラボと仕事をするようになって、ママやファミリー関連の仕事が増えた」との声を頂いたことがあります。ほかにも、社会人経験がなく出産された方には、一緒に仕事しながら関係を築くうちにスキルの幅が広がったと言っていただいたことも。手を動かすお仕事はもちろんですが、現在はプランニングやディレクションなど、仕事の上流から入るプロジェクトを回していただいています。
——それは嬉しい声ですね。
案件量を増やすことも大事ですが、我々を通じて仕事が縦に広がることで、スキルアップや仕事の夢実現のお手伝いができればと……おこがましい限りですけれど、クリエイターの様々なお手伝いができるように、社内外の制度も整えていければと思っています。「一緒に走って一緒に実現できたね!ばんざい!」って言える瞬間は、やっぱり嬉しいです。
チームで働けば、ワンランク上までもっていける
——マムズラボを立ち上げたきっかけはなんですか?
私自身がもともと、10年くらいフリーランスで、PRプランニングや編集ライティングに携わっていたんです。妊娠・出産など、女性としてのライフイベントを経ていくなかで、時間と場所に捕らわれずに働きやすいフリーランスが自分に合った働き方だと思い続けていました。
そして、同じように感じている仲間が周りにいたので、彼女たちとチームで働けば、それまで末端で請けていた仕事を上流から受けられるようになるのでは、と思ったのがきっかけです。
当初は4~5人から始まり、50人くらいまでは任意団体でしたが、日々が時間との戦いで……家庭を顧みるゆとりがなくなる現実に直面しました。そんななか、武田(代表取締役副社長)との繋がりがあり、事業化を目的にマムズラボを立ち上げることになりました。
——今後はどんなクリエイターを求めますか?
登録には3年以上のご経験をお持ちの方を対象としていますが、どんな方でも嬉しいです……! ただ、マムズラボでの経験を経て、一緒にスキルアップしてくれるような意欲のある方であればと思っています。
——現在、時短でも上手に働かれている方に共通する特徴はありますか?
コミュニケーション力や、状況をきちんと伝えられる言語力は、活躍されている方のほとんど全員に共通する能力だと思います。
あとは、ご自身が働くことに関して、ご主人や家族の方ときちんと話し合いができている方が多いです。ママが仕事をする際に一番大きな支えになるのは家族の理解なので、ご自身の就労環境整備のファーストステップをクリアされている方は活躍しておられる印象です。
——それはママだからこその話ですね。
はい。ママであること関係なく挙げるなら、自分のメンタル管理ができるかどうかと、「ほうれんそう(=報告・連絡・相談)」ができるかどうかも大切かなと思います。
未経験でも手があがるような環境づくりを目指して
——マムズラボに所属するには、3年以上の実務経験が必要ということですが、例えばライターであれば3年以上の経験があれば所属可能ですか?
もちろんです。ベースのスキルには3年以上のご経験ある方を対象にはしていますが、「未経験のジャンルだけどやってみたい!」という立候補ができ、チャレンジができる環境にしたい想いがあります。
ママかつフリーランスの場合、勉強のための時間が取りにくいことから、スキルの幅が狭くなりがちです。特に、Web制作や開発回りの手離れしづらい案件に携わると、トラブル対応や緊急時調整などにより、育児家事に支障がでるリスクが発生します。その場合、まずまず学びの機会を得にくくなる……それはとてももったいないことだと感じるんです。
そして、フリーランス歴が長いから能力が高かったり、センスがあったりするわけでは絶対にありません。むしろ自分で仕事を選べる分、やりやすい方向に傾きがちです。でも、同じような環境なのに学びやスキルアップを頑張る仲間がいることで、新しい意欲が沸くかもしれない。
だからこそ、クリエイターがスキルアップする環境は整えていきたいですし、そのような場にやりがいや魅力を感じてくれる方なら大歓迎です。
——収入を得るだけではなく、子育てをしながらクリエイターとしての成長も支援すると。
はい、スキルアップを経ることで収入が引きあがる可能性がより高まります。そうやって、能力があるママの評価をいかに引き上げていくかが、私たちの課題でもあります。一つ目の支援策として、7月からはクリエイターのスキルアップを目的とした『マムズラボカレッジ』を始めることになりました。
所属するクリエイターの中にも、デザインやコーディングは可能だけどコンバージョンへのつなげ方については不安があったり、Photoshopやillustratorは使いこなせるけど、デザインの上流設計部分では自信がない方がいたりします。足りない箇所を補完して学べる環境を作る必要があると思い、企画しました。ベースのスキルをきちんと持っている方々がさらに高いレベルに行けるようなものを、マムズラボカレッジでやっていけたらなと。
——それは今後の展開がとても楽しみですね!
マムズラボを立ち上げてもうすぐ1年になりますが、単なる制作にとどまらず、クライアントともに新たな商品・事業を作り出すようなプロジェクトもだんだんと増えてきました。
ママかどうかにかかわらず、仕事ができる人はできますし、約束を守る方は守ります。いい意味で『ママ』という言葉を言い訳にせず、質の高いアウトプットを続けていきたいと、私も強く思っています。
——佐藤さん、ありがとうございました!
7月から始まるマムズラボカレッジは、マムズラボに所属していなくても参加可能だそうです。
クリエイターとしてスキルアップしたい方、マムズラボに興味がある方、それぞれ参加してみてはいかがでしょうか。
▼マムズラボカレッジ情報
開催:月2回、平日13時~15時を予定
定員:各回20名~30名
参加費:一般参加3,500円、マムズラボ会員2,000円
会場:マムズラボ株式会社セミナールーム
住所:東京都港区六本木2-4-5 六本木Dスクエア6F
参加申し込み:Peatixよりお申し込みください。