Web系フリーランスが月額保守サービスを提供して安定して仕事を得るメリットとデメリット/リスク

複業ナレッジ・ノウハウ

100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスのざき山です。

複業メディア「ウィズパラ」では、サラリーマンの方、学生の方、フリーランスの方、問わず、『複業』という、これからの時代の新しい働き方を実現するために必要な知識・ノウハウを発信していきます。

自分はWeb系フリーランスとして2008年から16年以上、活動しています。

Web系フリーランスといっても具体的にはどんな仕事を生業にしてるのという声をよくかけられます。

ざっくりと、おもに企業や個人経営者の方から依頼をいただきWebサイトやECサイトの制作を行っています。

そしてサイトは作って終わりではなく、日々の更新やトラブル時の対応など、制作後も運営や保守にかかわることが多く、どちらかというと制作よりも、制作後の更新・改修・保守で多くの売り上げをあげてきたと言えます。

そしてそのサイト制作後の更新・改修・保守は、ニーズがあった都度、別途見積りで対応するケースと、月にいくらか金額を設定し、月額固定での保守サービスとして対応するケースがあります。

本日は後者の月額保守サービスを提供する際のメリットとデメリット/リスクを紹介していきたいと思います。

Web系フリーランスが提供する月額保守サービス

月額保守サービスといっても実際にはどのような契約(サービスを提供)をしたのか。

いくつかご紹介いたします。

サイトの更新作業

一番多いのが、サイトの更新作業です。

サイトは一度、作って終わりではなく日々更新してこそはじめて価値が生まれるとは、私の持論です。

SEO効果などマーケティング視点でも、サイトは更新し続けないとあっという間にネットの闇に消え去り露出が減っていきます。

クライアントもそのことがわかっているマーケティング意識の高いクライアントは日々の更新作業を依頼するたびに別途見積りするのは煩わしいので、毎月いくら払うので月々発生する更新作業を全部やってくださいと頼んでくれます。

こちらから月額保守を利用しませんか?と打診することもあります。

月々の作業ボリュームがこれくらいなので、月々、このくらいの金額でいかがでしょう?作業範囲、作業内容はこんな感じです。

と言った具合です。

月々、だいたい同じくらい作業が発生する場合は、月額保守サービスは非常に便利なサービスです。

つどつど見積もりを取ったりする手間が省けますし、発注するクライアントも金額を気にする必要もなくなります。

おそらくクライアント側にとっても、フリーランス側にとってもメリットが大きいと思います。

ただサイトの更新といっても月によって、作業のボリュームが大きく異なる場合は、どちらかが損をしているという感覚を抱くので、月額保守の継続が難しくなることもあります。

サーバ・ドメインの管理代行

サーバ・ドメインの手配から契約・決済手続きの代行、日々の諸設定などサーバ・ドメイン周りのすべての作業を代行するサービスも比較的喜ばれますし、もっとも長く利用してくれてフリーランスに安定してストック収入をもたらしてくれるのが、サーバ・ドメインの管理代行月額保守サービスと言えるでしょう。

クライアントが増えれば増えるほど、サーバ・ドメインの管理・保守を任せてくれるクライアントが増えれば増えるほど、フリーランスの生活は安定して盤石なものとなっていきます。

このサーバ・ドメインの月額保守が欲しいがために、サイトの制作を無料で行うといったビジネスモデルも流行してきています。

一度、サーバ・ドメインの管理を外注化すると、簡単に移行・移管できないため、フリーランス側としては、クライアント自らサーバ・ドメインを管理するよりもぜひ管理を任せてほしいというのが本音でしょう。

メールやサイトのトラブル対応

これもよく対応が可能か打診されるサービスです。

ただトラブルによっては、どう対応しても復旧できない場合があったり、作業の範囲があやふやになると何でも屋にされかねなかったり・・と若干受けにくいのも事実です。

正直、トラブル対応に関しては症状を伺ったうえで、別途見積り対応にしておいた方が無難と考えています。

記事のライティング・コンテンツ追加作業

よくSEO/SEM施策目的で、依頼が来るのがこのサービスです。

ライターやマーケターのフリーランスの方はのどから手が出るくらいほしい仕事ですね。

ただこれも大事なのは仕事内容と報酬のバランスですよね。

ある程度、好きにやらせてもらえるなら単価も多少低くてもやりがいはありますけどね。

やり方からクォリティへのダメ出しなど、ガッチガチにクライアントからの指示が辛いのであれば、相当な金額でなければやる気はおきないですね。

どうやって金額と作業範囲を設定するか

さて上記のサービスを展開する際に、ぜったいに予めクライアントとしつこいくらい確認しておきたいのが、保守サービスの金額に対する対象作業範囲です。

たとえばなんとなくサイトの修正なら何でもやりますとアバウトに言ってしまうと、自分が制作したものでない、関係のないサイトまで修正を頼まれてしまうかもしれません。

その他、サイト更新も無制限で対応すると言ってしまえば、無限にコンテンツを追加する依頼が舞い込む可能性があります。

時間で制限をかけるか、ライティングであれば文字数で制限をかけるか、ページ修正であればページ数で制限をかけるか・・・

でも普段、まったく作業が無かった月もあるんだから対応してよと言われる・・・・などなど

月額保守サービスというのは意外に難しい面がたくさんあるんです。

月額保守サービスのメリット

不安定なフリーランスが安定するための決定打

後述しますが、月額保守サービスを提供するにもデメリットやリスクもあります。

ただじぶんは月額保守サービスをクライアントに提供するようになって、劇的に生活が安定したのはまぎれもない事実です。

16年以上もWeb系フリーランスとしてサラリーマン時代の収入を下回ることなく活動してこれたのも、月額保守サービスを提供することによって、ストック収入を得られるようになったからです。

月々の収入もだいたい予測がたちますし、翌月からいきなりゼロになるなんてこともなくなります。

自分がフリーランスでありながら住宅ローンを組めたのも月額保守サービスを多くのクライアントに対して提供していたからです。

作業が無い月もお金がもらえてしまう

まぁ、これをメリットと言ってしまってよいのかという疑問はありますが・・・

ほとんど作業が無い月であっても、契約がそういう決まりであれば、月々決まった保守費用を受け取ることができます。

悪質なサブスク業者は、もうサブスクを利用していない人からも契約していることを思い出されないことをいいことに長期間利用料だけ徴収しているなんてことも多々ありますよね。

ただ、基本的には作業や価値の対価として報酬をもらっていない状態は健全とは言えないので、あくまでも作業や価値を提供できるように最善を尽くすのが吉です。

クライアントとの付き合いが継続しやすくなる

月額保守契約を結んでいない場合は、サイト制作後の更新は毎回、別の業者さんに依頼されてしまうリスクがあります。

月額保守契約を結んでいれば、基本的には毎回、修正の依頼は無条件でじぶんのところに依頼してくれます。

そして継続してクライアントの信頼にこたえていると、新規の案件が生じた際も、ほぼほぼじぶんのところに依頼をしてくれるというメリットもあります。

サイト制作をして関係が絶たれないように、ほんの些細な役割でもいいので、継続して保守サービスを利用してもらうというのは営業面的にも非常にメリットが大きいんです。

リスクが大きい新規案件の割合を減らせる

月々に月額保守で見込める売り上げがごっそり無いとすると、すべて新規案件で売り上げを立てないといけなくなります。

それがどれだけ不安定なことか、すでにフリーランスの方ならわかると思います。

納品タイミングが少しずれれば、収入がまったくゼロになってしまう月もあるかもしれません。

また都合よく、毎月依頼が舞い込むとも限りませんし、新規案件の中にはスムーズに納品までたどりつけない炎上案件も一定数生じます。

新規の案件というのはとにもかくにも不安定なのです。

月額保守サービスのデメリット/リスク

そして今回の記事で一番重要なのが、月額保守サービスを展開するときのデメリット/リスクです。

新規の案件で消耗せずに月々の月額保守で得られるストック収入をいかに増やせるかがフリーランスを長く続ける秘訣であると言えなくはないのですが、やはりこの月額保守サービスにもしっかりデメリットやリスクがあり、これを肝に銘じなくてはなりません。

保守の範囲・ボリュームがあいまいで、無制限に仕事が舞い込む危険がある

月額保守サービスで対応する保守作業の範囲はあらかじめ決めておくのは当たり前の話ではあるのですが、対応保守範囲をめぐってお互いの認識に差が出てしまうのも月額保守サービスあるあるです。

クライアントはあれもこれも対応してくれるものだと思っていた・・・とか。かなりあるあるです。

また受けているフリーランス側も、事前に対応保守範囲を明確にしておかなかったばかりに、想定を超える作業量が舞い込み、とてもじゃないが固定費用ではやってられないというケースも散見されます。

ただサービス提供側としてみれば、一度、請けたのであれば、やはり出来ませんでは通用しませんので、つぎのサービス契約更新時で条件を変更するかサービスを停止するかしないかぎりは、一度決めた保守サービスは全うすべきですね。

じぶんとしては想定を超える作業が殺到するかどうか、月々の作業量・保守範囲が明確になるまでは、軽々しく月額保守サービスを請けずに、まずは別途見積りで対応することをおススメしています。

仕事のタイミングや量をじぶんでコントロールできない

月額保守サービスを引き受けると、月々、安定して仕事が入ってくるというのは大きなメリットです。

ただ量が毎月安定していればいいのですが、想定外のトラブルが頻出した場合、多くの工数を割く必要が生じます。

そして複数のクライアントの保守サービスで、多くの作業依頼が殺到した場合、フリーランスの限りある人的リソースは簡単にパンクしてしまいます。

新規の受託案件などは、忙しければ断ればいいし、ワークライフバランスをコントロールしやすいのですが、月額保守サービスは想定外の忙しさに見舞われることも覚悟しなければなりません。

逆に月額保守サービスを利用してもらっているのにまったく依頼がないとそれはそれで焦るもんなのですが・・難しいものです。

仕事をやらなくても多く仕事をこなしても同じ金額のためモチベーションを維持しにくくなる

じつはこれも月額保守サービスの大きなデメリットと言わざるをえません。

月額保守は仕事が少ない月であっても仕事が多く舞い込む月であっても同じ固定の金額で対応するという取り決めのサービスです。

仕事を請けているフリーランスにとってはなるべく仕事が少ない方がコスパ良く稼げているということになります。

逆に多く仕事が舞い込むと稼ぐコスパが悪くなることと同義で、どうしても多くの仕事が入ることに不満が生じるようになってしまいます。

これはまぎれもなく大きなデメリットです。

本来であれば喜ぶべき仕事の殺到が、鬱陶しく感じてしまうリスクがあるわけですから・・・

仕事をやらなくてもお金が入ることに慣れると良いことはない

逆に月額保守サービスを利用してもらっているのに、まったく仕事がこないという状況も非常に不健全だと感じます。

健全な仕事は、クライアントに対して報酬に見合う価値・サービスを提供できている状態です。

いっけん、何の仕事もしていないのにお金がもらえてラッキーな状態ですが、そんな状態に慣れてしまえば、きわめて不健全なので長続きしませんし、フリーランスの向上心も萎えていってしまいます。

結局、クライアント・フリーランス側双方にとって公平感が欠けやすい

月額保守サービスは、じぶんのこれまでのフリーランス人生を振り返った時に間違いなく廃業せずに生きながらえさせてくれた素晴らしいサービス提供であったと断言できますが、今回のようにリスク・デメリットも必ず認めなければなりません。

やはりつきつめれば、月額保守サービスは結局、クライアント・フリーランス側双方にとって公平感が欠けやすいサービスであると言えるのではないでしょうか。

じぶんの今のスタンスとしては、自分とクライアントにとって長期的にメリットを感じられる状態の月額保守は継続し、それ以外のどちらかが不公平を感じるウィンウィンではない状態の月額保守は終了するようにしています。


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この記事を書いた人

山崎岳史

東京都中野区のフリーランスでWeb制作を行っております。
Web制作会社から独立してから、13年が経ちます。

おもにマークアップやJavascriptのコーディング、Wordpressのカスタマイズなどフロント回りの開発が得意ですが、PHPとMySQLを連携させたシステム開発もよく行います。
ビジネス系メディアへの寄稿などライターとしても活動しています。

自分の最大の売りは、即レススキルと誠実さ(自分で言うなw)だと思います。

最近は、フリーランスや複業(複数の生業を持つ)という働き方の素晴らしさに気づき、この新しい時代の働き方の普及活動をしています。

このメディアでこの変化の早い世の中で、いかにすればフリーランスとして活躍していけるか有益な情報を発信していきます。

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